工房で寛ぎ、天井を眺めながら未踏の奥地へと向かう。密林を抜け王国に到達した。
そこで手にしたゴンドワナの道具。
酒も入るのだから、盃やタンブラー、ゴブレットと
名付けてみる。距離があるのも当然。しかし、未知の道具であるならば、手に取ることも探検だ。
久し振りの銀座で真夏のグループ展。
未踏ではないが、当然、伊豆からの銀座は随分と奥地にある。
二年振り、千葉・久留里、カフェ郷里にある「蔵のギャラリー奏風」にて作品展。
世界はどうあれ、年中巣ごもり状態。リゾートの緑に囲まれ仕事漬け。この地特有な自然光景を眺めながらのウォーキングが息抜きだ。
世代が代わり、手入れもしない別荘はやがて朽ちるが、植物は勢いを増し、廃墟を飾る。
湧き上がる濃緑。夥しい丸い暗赤色。ヤマモモと重なる向こう側に朽ちて傾くログハウスの焦げ茶。憂いを帯びた重い配色を眺めながら、明るい主の顔を思い出した。それでも、歩いているのだから過ぎてゆく。
夏リゾートの色彩は、心持ち次第で如何様にも変化する。
初日は在店します。
阿佐ヶ谷は、なにかと縁の深い街。
1933年創業の老舗、スポーツバイク専門店「フレンド商会」はその一つ。バイクワンダーランドの入口には、レトロに輝くフレンドのネオンサイン。
地上4階、地下2階の空間は、カラフルなプロダクトデザインの宝庫である。
その名店が87年を経て漸くインスタグラムに登場ということで、とりあえず告知。
そう言えば自転車は、免疫機能の向上にも効果的だとか。
どんな状況であろうともコレクターという人種は健在だ。
彼女の様な存在は、作り手が抱える懸念を多少なりとも晴らしてくれる。そして選ばれた中の一枚は示唆に富んでいた。
刻一刻とカメレオンの如く変化する国内外の情勢。しかし自然界の脅威は、同時に自然の一部でもある。であるならば、やがて大人しく同化し、さらには雲散霧消してくれることを願うのみだ。
とりあえずギャラリー内では、願いが叶ったわけで。
「水の流浪」は詩人・金子光晴の作品。
幸い僕は工芸家である。苦悩や葛藤など作品に反映させることはないが、制作中とても小さな流浪は度々あることだ。
一節にある「疲労(つかれ)より美しい感覚はない」に共感する。
初日を迎え、在廊する数日間はまさにその状態。
もっとも、へたりきった作者の理屈など観る側には必要ないこと。
流浪の末に滴る水を両手で受け止めてもらえたらそれでいい。
志村観行 陶展
Cafe Gallery forma
2020. 3/31〜4/11
11:00〜17:00 日・月休み
在廊日 3/31 4/1〜4*各日午後
埼玉県所沢市泉町914ー17 千雅堂1F
Tel 04-2933-6800