吉祥奇譚、今年の創作にまつわる不可思議な物語は『足利・乾』編へ。年が変われば6月に、都心でありながら未踏の街での個展も控えている。
藁の交換から始まったお伽噺の様な創作の旅は、振り返れば当時、赤坂にあった『乾』との出会いから。時は経ち、既に大きな宝を手にしてはいるが、未だ長者でないことに安堵する。
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小さな城下町、久留里の街道はずれに広がる田園。その先にある古民家カフェ&ギャラリー郷里の店主夫妻とは長い付き合い。父君が脱サラして開いたカフェも21年目を迎える。店舗、ギャラリーに体験工房、家具や内装に意匠を凝らし、家族や仲間と作り上げてきた。一方で、進化し続ける千葉カフェ・スタイルも直視。雑誌で度々紹介されるのは必然であるが、慌てず騒がず、多肉植物のように『ジワリ』と変化するその姿勢は、店の落ち着きとして体現されている。
親子2代に渡る時間の中で、美しく均等に堆積した客層は、実に眺めの良い景色。
店主夫妻の素敵にデザインされた人間性の賜物である。
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