明治13年創業・画廊「文錦堂」
当時の文豪小説に登場しそうな店名の老舗にて恒例の酒器展初参加。
戦国時代から栄える城下町。東海の中核都市の一つ、岐阜市に画廊はある。
「しにせ」、音の響きは「門構え」の如く立つ。
大仰ではなく簡素であるが瀟洒な造り。
幸い背筋伸ばしてくぐれる作品を造ってはいるが、一礼を忘れてはいけない。
そう言えば、古さついでの記憶が一つ。
20代初め、木曽路の旅。
馬籠の宿の囲炉裏端で老婆の話を肴に酒を呑んだ。
「島崎藤村はよく遊んでくれた」と語るのだから、頭が下がるのは当然のこと。
そんな御伽噺の様な岐阜との関わりは、今回、旅人ではなく工芸家として。
だからとてもリアルな話である。