池袋西武での個展に湯島の居酒屋『シンスケ』の四代目がやって来た。彼は箱を取り出す。シンスケの徳利が入っていた。昨年、店で呑んだおり、シンスケの徳利を柄にした瓢箪形の豆皿をプレゼントしている。『このリベンジはいずれさせてもらいます。』と不敵な笑みを浮かべていたことを思い出す。しかしそこにあるべき名を見て驚いた。『カンコウ』僕の名前、観行(のりゆき)は皆読めず、友人達は今でもそう呼んでいる。自作が並ぶ個展会場で、陶芸家は居酒屋シンスケの徳利に向かいゆっくりと頭を下げた。道場荒らしに勝利し立ち去る矢部君の後ろ姿を決して忘れない。
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